偶然目撃した2人の・・・




 

 夏休みも中盤に差し掛かり、そろそろ学校の課題を片付けなくちゃと焦り始める頃。

 私はまだ何も手につかなくて、開いただけの教科書を早速パタンと閉じた。

「・・・コンビニ行こっかな」

 外出する理由を無理矢理くっつけて、外へ出た。



「あー暑い・・・」

 近所のコンビニを素通りして、駅前通りを歩く。

 真昼なのと、例年にないほどの猛暑が続いているせいか、外を歩いている人は少ない。

 皆建物の中に逃げ込んでいるんだろう。

「あ・・・あれ」

 その建物の中を何となく見ると、学校で誰も知らぬ者はいない、あの二人がいた。

 よく見ると楽器店だ。少し大きいその楽器店はとにかく種類が豊富で、音楽科の生徒が重宝しているとか聞いたことがある。・・・なぜ普通科の私がそんなことを知っているのかといえば、親友である日野香穂子がいるからである。その親友が。

「月森くんと、何見てるんだろう」

 ピカピカに磨かれたガラスが太陽の光に反射して、私からは何を見ているのかもわからない。楽しそうに歩く二人には、周りなんて目に入ってない様子だった。

 ジロジロ見てるのもどうかと二人から視線を外そうとした時。

「!!」

 月森くんが・・・キス、した・・・

 しかも。

「こっち見てるし・・・」

 香穂子は私に背中を向けている状態だから気付いてないけど、明らかに月森くんは私に気がついている。

 香穂子と一緒にいる時に何度か話したことがあるから、向こうだって私の顔くらいは覚えているはずだ。その証拠に、私から視線を外さない。

「あ、あ、あ・・・」

 口をパクパクさせるしかない私に、彼は香穂子に口付けたまま、ニヤリと笑った・・・ように、見えた。

 一瞬とも、数十秒ともわからない時間の間。

 月森くんは私だけを見ていた。

 その瞳には「たとえ女友達でも容赦しない」とでも言いたげな・・・とにかく怖さを含んだ意思が浮かんでいた。

(そんな牽制しなくたって)

 香穂子はとっくに月森くんのものだよ。


 唇を離した後、香穂子は猛抗議していたけど、私には気付かないままだった。

 チラリと私を見ると、月森くんは背を向けた。

 人差し指を口に当てて。


 翌日。

 香穂子に会ったとき、私はしばらく彼女の顔を見ることができなかった。








ヒトリゴト。(ブログより



最初は仲良く手をつないでいる、という設定だったんです、が・・・おかしいなあ(書いたの私

更に、偶然目撃、ではないような・・・(だから書いたの私

だって明らかに気付かれてますもんね(汗

 

2010.9.5UP