キューピット




 

 日野香穂子が我輩と目が合った瞬間に、我輩は決めたのだ。
 今度のコンクールで音楽の祝福を与えるに相応しいとな。
 でも、一つ誤算があったのだ。
 嬉しい誤算だから良しとするか!



「ねえ、リリ〜」

 お、日野香穂子が呼んでいるぞ。
 今日はどんな用なのだ?

「どうしたのだ、日野香穂子」

 駆けつけてみれば、元気がないようだな。
 一体どうしたのだ?

「私、わかんなくなっちゃったよ・・・。私の音って、月森くんの音を真似しようっていうふうに聴こえるんだって。・・・確かに初めに聴いた月森くんの音が忘れられなくて、いつも心のどこかであんな綺麗な音が出たらいいなって思いながら弾いてるけど・・・」

「確かに、そう聴こえなくもないな」

「・・・・・・」

 傷つけるつもりで言ったわけじゃないのだぞ。
 我輩は素直にそう思うこともあるだろうと・・・ああ〜、どうしたらいいのだー!



「日野香穂子」

 我輩は日野香穂子の目の前まで下りた。

「我輩には、お前の音は『日野香穂子』の音に聴こえるぞ」

 お前が月森蓮を好く思っていることも、バレバレなのだ。
 そんなことは言っちゃいけないようだから、黙っていることにしよう。

「だから、お前はお前でいいのだ、日野香穂子。思うように演奏すれば、きっとヴァイオリンが応えてくれるのだ」

「思うように、演奏する・・・」

「そうだ。音は嘘をつかないからな!きっといいことが起こるのだ!」

 だから頑張れ、日野香穂子。






 何日かして、日野香穂子と月森蓮が一緒にヴァイオリンを演奏している所を見かけた。

「うーん、いい音なのだ〜」

 我輩の「音楽の祝福」を受けた者は幸せになる。
 あの二人もその恩恵がある限り、ずっと幸せでいるに違いないのだ。



 姿を隠してこっそり聴いてやるか。
 日野香穂子と月森蓮の「愛の挨拶」を。









ヒトリゴト。(ブログより

ど、どうしよう・・・めちゃくちゃ楽しい・・・!
リリが後押ししたことで両想いになったよっていう話なんですが、・・・わかりづらっ(すみません
月森サイドも書いてみたくなってきた!うん、いつか書きます(ヘタレ

 

 

2010.5.6UP