注意!
 指定は入らないと思いますが、ちょっとオトナな感じの表現が含まれます
 多分、オモテでも大丈夫だと思い・・・ます・・・。
 読んだ後の苦情その他は受け付けません。
 ご不快な方はお戻り下さい。
 おkな方はそのままスクロールでどうぞ。
















Hier.

 




 ただ何となく。
 背中に縋り付いてみただけだった。
 一見、細身な月森だから忘れがちなのだが、彼とて一人の男の人だということを、まざまざと実感する。

「どうした?」

 暖かい背中。
 とくん、とくん、と微かに聞こえる鼓動。
 そんなことが、香穂子の何かを呼び起こしてしまう。

「何でも、ないよ」

「・・・そうか」

 そうしてまた読みかけの本に視線を戻す。
 自分は何故こうしていたいのだろう。

「ねえ、月森くん」

「・・・どうした?」

 やっぱり何かあったんじゃないかと言いたそうに、少しからかいを含んだ声音が優しい。

「私のこと、好き?」

「好きだよ」

 間髪入れずに返って来た言葉に安堵もするけれど、どうして不安になるのだろう。
 どうして、体の奥が、彼を欲するのだろう。

「どうしたんだ、香穂・・・」

「月森くん」

 言葉を遮って、香穂子は尚も名前を呼んだ。けれどその続きは、ない。

「・・・何をして欲しい?」

 月森がゆっくりと眼鏡を引き抜いた。
 読んでいた本をパタンと閉じて、その上に眼鏡を置く。
 そうして振り向いた月森は。
 香穂子と同じ目をしていた。

「俺に。何を、して・・・欲しい?」

 掠れた声で。
 今にも触れそうなほど近くで囁かれるその言葉に。
 香穂子はどうしようもなく酔いしれる。
 だから言ってしまうのだ。
 浅ましいと笑われるかもしれないとか、そんなことがどうでもよくなるほどに。



「月森くん。月森くんを・・・感じさせて」



 その手で、私を壊して。
 何度でも。
 私を、めちゃくちゃにして欲しい。
 ここで、何もかもを。
 奪いつくして欲しい。

「・・・そんなことを、言って・・・いいのか?」

 後悔しないな?と問うその瞳には、明らかな感情が浮かんでいた。

「君が、俺以外の何も考えられないようにしてやる」

 うん、と香穂子が頷いたのが合図。
 




 響くのは、衣擦れの音と、二人の呼吸だけ。
 何かを急ぐような香穂子の求め方に、どこか冷静に疑問を持つ自分の冷静さを、月森は投げ捨てた。
 纏っていた衣服と共に。



 嬌声の合間合間に、香穂子が何かを言う。
 それが聞き取れないのだが、目の前の悦楽に身を投じてしまった頭では、もうそれ以上深く考えられなかった。


 
 いっぱいにして。
 汚して。
 壊して。
 蝕んで。
 堕として。
 もう何もいらなくなるほどに。

 そうして、真っ白な視界の中で、月森の背中に縋って。
 香穂子が意識を失うまで。
 ただ、奪い、奪われた。
 









ヒトリゴト。(ブログより

すみませんイロモノで・・・
タイトルの意味は「ここで」だそうです。
聞いてた歌の影響でイロモノ・・・ホントにすみません。

 

 

2010.11.26UP