答えもあの人もあの人のカケラも




 

 遠くなる飛行機を見つめながら、流れるに任せていた涙が自然と止まる。
 もう、立ち止まってちゃいけないんだ。
 月森くんだって、前を見て歩き出した。
 私も。
 歩き出さなくちゃ。


 忘れちゃえば?って言われるようになった。
 彼を見送った季節が訪れるたびに。
 月森くんの名前が聞こえるたびに。
 でも、私は忘れない。
 忘れたく、ない。

 これでいいのかわからない。
 向こうの大学を卒業したら、戻ってくるのかも。
 ・・・誰か別な人を選ぶのかも。

 誰にも答えはわからない。
 けれど、月森くんを想う気持ちも。
 毎日のように隣を歩いていたことも。
 肌を重ねた肌の温もりも。
 忘れられないから。

 この胸で息づくそれを、大切に温めて。
 「いつか迎えに行く」って言ってくれた言葉を信じて。
 秘密の約束を馬鹿みたいに信じてる私は、おかしいのかもしれないけれど。
 今の私にはこうすることしかできないから。

 あなたといた思い出の欠片達を胸に。
 私は今日も、一歩を踏み出す。

 

 

 

2010.2.23UP