(・・・どう、しようか)
目の前の光景に、月森は内心頭を抱えたい気持ちで見つめていた。
| 君の素足 |
コンクール直後の初夏の日差しが燦々と降り注ぎ、校内も何となくではあるが、間もなくやってくる夏休みに意識が向かって浮き足立っているようだった。その前にある定期テストのことなどは忘れていたいのだろう。
そんなある日の放課後。
屋上にて、との一言メールを送っただけで先にやってきた月森が、ドアを開けた瞬間盛大に固まった。
「香穂子・・・」
目立たない場所、でも二人の定位置となっているベンチで、すやすやと眠っていたのだった。
この熟睡ぶりからすると、おそらく今来たばかりではないはずだ。そうすると、午後の授業をさぼっていたことになる。
二人の名前と関係はコンクール中から噂になっていたし、終わったら終わったで教師も(一部ではあるが)認めている関係になっている。でもだからといってそ れで成績や音楽のレベルを落としたくはないから、二人とも最低でも現状維持・・・月森の場合は更に上を・・・保つ為に、勉強も疎かにしない、というのが暗 黙の了解だった、はずだった。
(起きたら理由を聞かなければ)
いやその前にこの光景だ。いや起こすべきか。
どうしよう、と考えながらカバンとヴァイオリンケースを静かに置く。そうして何気なく視線を移して・・・
「・・・・・・!」
置いたのが香穂子の足元だったのがいけなかった。
白い肌。
すらりとした足。
短めのスカートが、時折風に揺れてひらひらと舞う。
その、先を。
(いや、だめだ!見てはいけない・・・!)
口元を手で覆いながら、顔を逸らす。自分でもわかるほどに顔が赤い。
自分も男だったんだなと呑気なことを思う自分を叱咤して、香穂子を起こそうと手を伸ばした。
「香穂・・・」
「ん・・・・・・」
目の前が翳ったことで眩しくなくなったせいか、香穂子が僅かに微笑んだ。そんなのを見てしまったらここから動けるはずもなく。
(起きてくれ、香穂子・・・!)
既に触ることすらできなくなった月森が、起き抜けの香穂子に説教を始めるまで。
・・・ずっとその場に立ち尽くしていたのだった。
ヒトリゴト。
全ジャンル共通企画第二弾(笑)、「君の素足」月日編であります。
月森と斎藤さんは、言うに言えず悶々としてそうだなと思うんです。
でも視線はちらちらと、みたいな(笑)。月森は特にそんな風であってほしいという個人的願望です。
残るは遥か2のお二人ですね。幸鷹編からいこうかな。遥かの二人は、ともすると暴走するのでちょっとおっかない・・・