目を閉じた君へ囁く

 




 

 俺がヴァイオリンを奏でている間、香穂子は必ずと言っていいほど目を閉じる。
 どうしてなのかと聞いてみたい気もするが、恐らく俺も彼女が演奏している間は目を閉じる事が多いのと同じ理由なのだろう。
 練習室や屋上、森の広場。場所はさまざまだが、練習の後には大概リクエストをされる。俺からすることもあるが。
 今日は彼女のリクエストに従って、数曲弾いているところだった。もうこの曲で終わりにしたほうが良さそうだ。
 幸せそうに目を閉じている香穂子を見つめる。時折体を揺らして聴き入るのは、それだけ俺の音楽に集中しているということだ。彼女の集中力は短期集中型な ようで、短時間に内容を凝縮してみっちりやるタイプのようだ。しかし途切れてしまうと、しばらくは集中できないのが欠点なのだが。
 どこか遠くでそんなことを考えている間に、最後の曲が終わる。彼女いわく「余韻に浸っていたい」時間がしばらく続いてからようやく目を開ける。
 弾き終えると先ほどよりも嬉しそうな表情で瞳を閉じる香穂子に、俺はヴァイオリンを持ったまま近づいた。

「香穂子」

 耳元で囁くように呼びかけると、肩がピクリと揺れた。



「君が好きだよ」



 本当に。君が好きなんだ。
 もっと言葉にできたらいいと思う時もある。けれど、口下手だという自覚はある俺には、唯一の武器がある。・・・ヴァイオリンという武器。
 この音色で、君にどれほど俺が君を想っているか、雄弁に語ってもらえるから。
 時々は口に出して言って欲しいと彼女が言うから、俺なりに努力して言ってみる。



「好きだ・・・」



 目を閉じた君の頬が赤くなっていく様を、嬉しい想いで見つめていた。













ヒトリゴト。(ブログより一部

最近呟いてますが、薄○鬼にハマったおかげで、○桜鬼の二次創作サイトさん巡りをしてみたり、カッとなって秘密部屋に書いてみたりしてました。主に書くほうで時間を取られてしまって、こっち書かなきゃと思いつつ気付けば一週間経過・・・
ある程度は書き足りた&読み足りたので、これからまたぼちぼち書いていきますです。
そのうち薄桜○の創作ブログ立ち上げるかもしれません← そしたらお題消化よりも、オリジナル中心になりそうです。が、本編しかプレイしてないので、ネタに困るだろうなあ・・・

 

 

2010.12.20UP