| 愛する君へさよならを |
つまらない。
下らない。
でも面白い。
だからこそ「構ってやって」いたというのに。
「本当は、知ってたじゃないか」
自分のオモチャだと言い続けてきた少女が、誰を見ていたのかなんて。
誰の音を、追いかけていたのかなんて。
とうの昔にわかっていた、はずだった。
それももう、終わったことだ。
「オモチャの分際で、ムカつくったらないね」
けれども、逃げたのは自分が先。
だから、仕方のないことだ。
そのオモチャは今、遠くウィーンで、一度は別れた恋人と・・・既に「伴侶」と名を変えて・・・幸せに過ごしている。
仕事で行く時は寄らせてもらうよ、なんて社交辞令を鵜呑みにしたあの時の表情は、思い出すだけで笑える。実際には行くつもりなんか更々ない。少しでも自分の存在をその心に残したかったから、悔し紛れに言っただけだ。
ただの、子供じゃないか。
手に入らなくて駄々をこねて。少しでも負け惜しみたくて心にもないことを言ってみたり。
月に手を伸ばしても届かないと泣く、子供だ。
「・・・はっ」
奇しくも今宵は満月。
見上げた空で光り輝くその月を見上げた柚木が、長い髪をかきあげた。
「太陽に光を分け与えてもらわなきゃ輝けない存在の癖に」
彼女をさらっていくなんて生意気だよ。
小さくひとりごちた言葉は、寒空の彼方へ消えた。
愛する君へさよならを。
背を向けた僕に、絶望を。
ヒトリゴト。
柚木視点です。
月日←木ですね。
高校の頃には既に恋心を自覚していたのに、それを認める自分が怖くてアメリカへ留学(逃げる)。火原とはメールなどでやり取りしていても、その他のコン
クールメンバーとは一切連絡を取っておらず、帰国してみれば月森と香穂子が結婚する、って話になっていたという設定があったり(それをここで説明するか
彼はあまり出てくることがないので、たまにはと思って書いてみました。