ペアグッズ
あの二人って、何気に「おそろい」多いよね、と言い出したのは天羽。
そんなとこまで見てんのかと呆れたのは土浦。
黙ってにこにこと笑いながらそのやり取りを聞いている加地。
月森と香穂子が並んで歩いているずっと後ろを三人で歩きながらそんな会話が繰り広げられている。
「ヴァイオリンケースについてるキーホルダー、ハンカチ、楽譜をしまってるケース。香穂子の話によると月森くんちで使ってるマグカップもだってよ」
「…天羽…」
いい加減にしろと盛大な溜め息をつく隣で、違う意味での溜め息を付く男子生徒が一人。
「僕も今度、日野さんと何かお揃いで買おうかなー。時計とかいいかなあ」
「加地…お前もだ!」
うっとりと溜め息をつきながら何をお揃いにしようか意識が飛んでいる加地の後頭部に軽くチョップを食らわせてやる。
「でもさ、ペアグッズってさ、他人から見ると何か見てて恥ずかしいけど、やってる本人たちは幸せそうじゃない?」
「そりゃ、嬉しいだろうさ」
「っていう土浦くんは?お揃いって嬉しい?」
「何で俺なんだよ」
「…ああ、お財布もアリかなあ。こないだあのブランドで新作出たって言うし、見に行ってみようかなあ…」
助けてくれと眼差しで訴えた先にいる加地は、相変わらず意識が飛んでいる。あーあと二人で溜め息をついた。
「お揃いって、俺はあんまり好きじゃないな。何だか束縛されてる気がするし、俺も相手を束縛してるような感じがする」
「束縛、ねえ…」
ある意味ではそうするための道具と言えなくもないと思うけど、と天羽が呟く。
「まあ、本人たちがいいんなら、いいんじゃないか?」
「土浦もそう思う?やっぱり日野さんには、ベビードールとか似合うよね!」
「はあ?!」
「はあ?!」
時計から財布になって、どうやったら下着まですっ飛べるんだよ?!などと土浦からの突っ込みは軽く流した加地が「天羽さんもそう思うよね?」などと同意を求めている。
「…土浦くん。…こと加地くんに関しては、不干渉ということで一致だね」
「…ああ」
「ちょっと不感症ってどういうことさ?!」
「ばっか違うだろ!朝っぱらから何言ってんだお前!そもそも発音が違うだろ!」
先ほどの軽いチョップどころではない、半ば本気で頭を小突く。賑やかなやり取りが続くその先で、話題になっていた二人はリリの銅像前に立っていた。
「じゃあ月森くん。お昼休みね!」
「ああ。屋上で」
ほんの一瞬だけ手をきゅっと握り、すぐに離す。そして少しだけ見つめ合って。
「また後で!」
香穂子が駆け出した。その後姿をじっと見守る月森を見守る三人。
「なんかさ。…らぶらぶだよね」
「…だな」
「日野さん、今日も走っていく姿がかわいいなあ…」
三種三様の溜め息を付く中で、音楽棟へと歩き出した月森のヴァイオリンケースについているキーホルダーがちゃらんと音を立てた。
ヒトリゴト。
加地くんファンの方ほんっとにスミマセン(土下座
彼はこんなにアホな子じゃないってわかってます…!めちゃめちゃ頭いいし、気遣いのできる言葉を投げかけることができる子だって知ってます!
ギャグちっくにしようと思うと、どうしても加地くんはこうなっちゃうのです…そのうち救済してあげたい、です。
2011.10.11